Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
一応お話が終った時に、神様はやおら私の手を執って、扶け起こしてくださいました。『そなたも一つ元気を出して、歩るいて見るがよい。病気は肉体のもので、魂に病気はない。これから岩屋の模様を見せてつかわす……。』
私はついふらふらと起き上りましたが、不思議にそれっきり病人らしい気持が失せて了い、同時に今迄敷いてあった寝具類も烟のように消えて了いました。私はその瞬間から現在に至るまで、ただの一度も寝床の上に臥たいと思った覚えはございませぬ。
それから私は神様に導かれて、あちこち歩いて見て、すっかり岩屋の内外の模様を知ることができました。岩屋は可なり巨きなもので、高さと幅さは凡そ三四間、奥行は十間余りもございましょうか。そして中央の所がちょっと折れ曲って、斜めに外に出るようになって居ります。岩屋の所在地は、相当に高い、岩山の麓で、山の裾をくり抜いて造ったものでございました。入口に立って四辺を見ると、見渡す限り山ばかりで、海も川も一つも見えません。現界の景色と比べて別に格段の相違もありませぬが、ただこちらの景色の方がどことなく浄らかで、そして奥深い感じが致しました。