Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
ある日私が御神前で、例の通り深い精神統一の状態に入って居た時でございます、意外にも一人の小柄の女性がすぐ眼の前に現われ、いかにも優さしく、私を見てにっこりと微笑まれるのです。打見る所、年齢は二十歳余り、顔は丸顔の方で、緻致はさしてよいとも言われませぬが、何所となく品位が備わり、雪なす富士額にくっきりと黛が描かれて居ります。服装は私の時代よりはやや古く、太い紐でかがった、広袖の白衣を纏い、そして下に緋の袴を穿いて居るところは、何う見ても御所に宮仕えして居る方のように窺われました。
意外なのは、この時初めてお目に懸ったばかりの、全然未知のお方なのにも係らず、私の胸に何ともいえぬ親しみの念がむくむくと湧いて出たことで……。それにその表情、物ごしがいかにも不思議……先方は丸顔、私は細面、先方は小柄、私は大柄、外形はさまで共通の個所がないにも係らず、何所とも知れず二人の間に大変似たところがあるのです。つまりは外面はあまり似ないくせに、底の方でよく似て居ると言った、よほど不思議な似方なのでございます。
『あの、どなた様でございますか……。』
漸く心を落つけて私の方から訊ねました。