Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

』

すると玉依姫様はほほとお笑い遊ばしながら、斯う訓えてくださいました。――

『あの昔噺が事実そのままでないことは申すまでもなけれど、さりとて全く跡方もないというのではありませぬ。つまり天津日継の皇子彦火々出見命様が、姉君の御婿君にならせられた事実を現世の人達が漏れきいて、あんな不思議な浦島太郎のお伽噺に作り上げたのでございましょう。最後に出て来る玉手箱の話、あれも事実ではありませぬ。別にこの竜宮に開ければ紫の煙が立ちのぼる、玉手箱と申すようなものはありませぬ。あなたもよく知るとおり、神の世界はいつまで経っても、露かわりのない永遠の世界、彦火々出見命様と豐玉姫様は、今も昔と同じく立派な御夫婦の御間柄でございます。ただ命様には天津日継の大切な御用がおありになるので、めったに御夫婦揃ってこの竜宮界にお寛ぎ遊ばすことはありませぬ。現に只今も命様には何かの御用を帯びて御出ましになられ、乙姫様は、ひとりさびしくお不在を預かって居られます。そんなところが、あのお伽噺のつらい夫婦の別離という趣向になったのでございましょう……。』

そう言って玉依姫には心持ちお顔を赧く染められました。