Japanische Klassiker mit Furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme
まだ針ノ木峠に小屋の出来る前で、テントはマヤクボの小さい鞍部に張っておき、下の草地へ遊びにいったのである。シナノキンバイとハクサンイチゲの花盛りだった。
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山登りは楽ではない。汗が出る、息が切れる、心臓はドキンドキンと鳴る。ルックサックが肩にめり込む……それだけに山での休息が有難く、うれしく、生きていることをしみじみと感じる。草の上、平な岩の上、はいまつの枝の上、どこにでも長々とねてしまいたがるのだ。はいまつには、たいてい、石楠花がからみあっている。はいまつの黄金色の花粉がむせるように舞い立つところ、石楠花のつめたい花弁が頬にふれたりすると、詩人めいた気持が起って来る。
◇
山の真昼は静かである。聞えるものはアブの羽音と、場所によっては遠く深い瀬の音だけである。時々、カラカラと音がするのは、どこかで石が落ちるのだ。山は石を落す。変らぬような山だが、その実、絶間なく小さな変化が起りつつあるのだ。切りたった岩壁がすこしずつ崩れて、その下に扇形のガレが出来る。そのガレに、いつの間にか、ミヤマハンノキとかタケカンバとかいう木が生える。