Japanische Klassiker mit Furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme
旅を思う
旅を思う
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秋が来て涼しくなると、身体はしゃんとするが、精神は意気地なくだらけてしまう。夏中忙しかったし、こんな暑さに負けてたまるかと、意識しないながらも頑張っていた。その緊張の反動なのだろう、朝飯が済むと、もうねむくなる。煙草に火をつけて縁側に坐り、空をながめては、ぼんやりと旅を思うのである。
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九月廿日――丁度昨日か今日のことだ。遅くとった夏休みに、北アルプスの針ノ木岳に登り、妙な谷を我武者羅に大沢まで下った。そこの山小屋で、山での最後の夜、窓硝子に、灯かげがさしたので「誰だ?」というと「石川さんはいるかや?」との質問。大町の案内が二人、夜路をかけて私を迎えに来たのだった。東京から電話で日清戦争が始ったし、関東地方は大地震だからすぐ帰れといって来た。大沢にいなければ針ノ木峠の小屋でも、どこでも、とにかく石川さんを見つける迄は登る決心をして来たと、二人は三日分の大きな握飯を出して見せた。満洲がゴタゴタしていたことは知っていたが、日清戦争は少々唐突であり、山の頂上で小さな地震は感じたが、関東大震災ならば東京から大町まで電話が通じる筈はない。