Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまをおもう

山を思う

石川 欣一

Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme

Aozora Bunko

二、彼

だが男はこの娘の親切が、都会の登山者がいる時にかぎられていることに気がつかぬ。娘はハッキリした意思もなしに、都会の人々に自分にも恋愛があることを示したいような気持がして、それで男に親切にしてやるのである。

やがて秋になり、桑の葉がカサカサ鳴るようになると、娘は憂鬱になってしまう。男など見向きもしない。男は相当に悩み、ある日山へ入ってあけびを沢山とって来る。日暮れ、埃っぽい路をポクポク歩いて娘の家へ帰って来ると、娘は五燭の電燈を低くさげて、一人で雑誌を読んでいる。上りかまちから声をかけても、娘は知らん顔をしている――「おい、お千代さん」と二度目にやゝ声高く叫んだ時、お千代は顔も上げずにいった「何さ?」「俺あ朝から大滝山の北谷へ入ってな、見な、あけびを籠一杯とって来た」「籠一杯のあけびをどうする気だね」お千代はプイと立って隣の座敷へ行ってしまった。――こんな風な結末にしようかと思っている。

二、彼

これは四五年前、丗枚ばかり書いたまゝ中止した話である。いつかまた書くかも知れないが、恐らく素材だけを頭に持って、書かずにしまうことだろう。

主人公は山の案内者、山には剛胆だが、人間としては正直すぎる程正直で小心な四十男を選ぶ。