Japanische Klassiker mit Furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme
一、麓の娘
一、麓の娘
北アルプスの、ある有名な登山中心地、これをAとする。Aへ行くには省線の鉄道でDまで、こゝから電車か自動車でBという小村まで、そこからは峠を越して六里。Bは電車が出来るまでは人家が二三軒の寒村だった。電車が出来てからも、人家は四五軒になったゞけ、一番大きな建物は終点であるところの停車場と乗合自動車の発着場。
駅のすぐ前に旅館兼休憩場で、煙草を売ったり、親子どんぶりを食わせたりする家がある。登山者は大勢Bの村落を通過するが、泊る人はめったになく、親子どんぶりを食う人もすくない。山から下りて来る人の方が、むしろこの家に立寄ることが多い。電車の出る一時間前に着いてしまったりして、退屈まぎれにこの家の土間で駄菓子を食う人もある。また六里の峠を雨で濡れて、土間で洋服を乾す人もある。
この旅館に娘がいる。ちょっと綺麗な顔をしているので、一部の登山者仲間では評判になっている。当人もそれを知っているのだが、また毎年きまってBを通過する登山者の中には、妙に彼女の印象に残って仕方のない人もいるのだが、勿論どうすることも出来ない。
Bには夏になると荷物かつぎをする若者が二三人いる。