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Japanische Klassiker mit Furigana

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やまをおもう

山を思う

石川 欣一

Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme

Aozora Bunko

するとすぐ前の電線に、肩をいからし、胸を張って、ギー、キーン!と威張っている鳥、バックは澄んだ空と、松の丘である。前にひらける景色は、私の家と、はるか向うの山である。若い勇士が得意になるのも当然ではあるまいか。

私は大きなアームチェアにポコンと埋って、大人しくパンを噛っている子供を抱き上げた。子供は抱いて貰った嬉しさに、足をバタバタさせて笑った。

「陽ちゃん、あれを御覧!」

子供は窓わくに立って、私の指さす方を見た。電線にとまる鳥の姿は、すぐ彼女の目に映じた。パンをつかんだまゝ、右手をのばして百舌を指さす。目を見張って、一挙一動を見守る。

見物人があると知ったからでもあるまいが、百舌は盛んに高い声を出した。子供はパンを忘れて見詰めた。

突然、パッと百舌は飛び立った。私の家の屋根を越して西北の方へ。あとには電線が空で揺れた。

子供はほっとしたように私の顔を見て、「にゃいにゃ、にゃいにゃ。」と云った。無くなったの意味である。

「あゝ、どこかへ行って了ったね。」――私は彼女をもとのアームチェアに下しながら云った。

去年の夏生れた私の長女が、初めて、意識して聞いた秋の声と、意識して見た秋の姿は、実にこの百舌である。