Japanische Klassiker mit Furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme
中年者の幻想
一
二
陽子があのお嬢さん位になる時には、僕は五十近くになっている。僕も狐の毛皮を首にまくか知ら……と思ったら、腹の底から笑がこみ上げて来て、何とも始末が悪いことであった。
中年者の幻想
一
何というあたゝかさだ。このまゝ春になって了うのだろうか。そして、もう十一時だというのに、どこの子供だ、往来で騒いでいるのは。あたゝかい晩には火の番の拍子木の音があまり聞えないから妙だ。
今日会社では、参観に来た一群の女学生が階段をあがって来るのを見て、ませた給仕が二人、ゲラゲラ笑いながら廊下でつきとばしっこをしていた。春なんだ、テニソンがいった「若者の幻想がやわらかく恋の思いに向いて行く」春なんだ。蛙が繁殖作用をいとなみ、オホイヌフグリ――変な名である――が瑠璃色の花を咲かせ、中学二年生の額ににきびの出来る春なんだ。僕も今日は終日、頭の中で歌をうたっていた。ヴァレンシヤ、ラモナ、バルセロナ。だが三十五になると、春の幻想も恋の思い出には向いて行かぬ。もう駄目だ。
二
信州にいる僕の親友、三十七になるのが、このお正月スキーに行った時、いったことがある―「つくづく駄目だと思う。