Japanische Klassiker mit Furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme
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二十六日の朝九時頃、ガッチリと荷物を背負った一行は、例のトボガンをひっ張って、大町を立った。大和を入れた十二名に大町の案内者黒岩直吉ほか三人が加わり(この四人は畠山の小屋まで荷物を持って送って行ったのである)バラバラと降る雪の中を一列になってあるいて行った。見送る町の人々は彼等が一月の十日頃、まっ黒になって帰って来る姿を想像しながらも、年越の仕度に心は落ちつかなかった。
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十一人を送り出した大町は、またもとの静けさに帰った。霏々として降る雪の下で、人々は忙しく立ち働いた。二十七、二十八、二十九、三十日の夜は殊に忙しく、対山館の人々が床についたのは三十一日の二時を過ぎていた。家内では鼠も鳴かず、屋根では雪も滑らぬ四時過ぎ、雪まみれになった二つの姿が対山館の前まで辿り着いたのを知っている人は誰もなかった。
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二人は叫んだ、二人は戸を叩いた。「百瀬さん、百瀬さん、起きて下さい」――何度叫んだことであろう。何度叩いたことであろう。夜あけ前の、氷点下何度という風は、雪にまみれた二人を更に白くした。