Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.447 Zeichen · 76 Bildschirme

Aozora Bunko

三月十五日

三月十六日

「貧しき人々の群」の序文を、母様が心配して早くかけかけとおっしゃる。けれども、そう早く書けはしない。あさかへ行ってしまうと、到底出来っこはないのだからだとおっしゃった。あんまり種々な感想があるから、一寸の序文でまとめることは殆ど辛かしい。

三月十五日(木曜)

玄文社の小倉さんに電話をかけて、序文のことと、校正のことと、扉のことをたのむ。何だか少し要領を得ない。午前中に序を書く。少し、どう書いたらいいかと思って迷ったが、結局一番始めに、フト頭に浮んだものでまとまってしまった。「師よ、師よ」何だかその響きが胸の底にしみ通る。そして、師よ、師よと云うとき、言葉のかげに、千葉先生のあの光った顔が動いて居る。自分としてはかなり満足に近いものが出来たので、余丁町へ持って行ったら、まだ御帰りがなかった。明日の二時までにあがることにして帰る。

三月十六日(金曜)

坪内先生へ行く。待って居て下さったのだそうだが近所までお出かけだとて始めて奥さんに会う。先生とはまるで違う。そう思って見るせいか境遇のために上品にさせられたと云うところが、折々若いうちにしみ込んだ心持があらわれて来る。