Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme
二
……苦もなくそういって蹴散らすことも出来た。論より証拠この通りと、そんなキザな、ろくでもないうたがいを晴らすため無理からなお呷りつけることも出来た。――早い話が、この間でも、自分からみればまだ子供のような田代の、いかにもおろそかでなく、いかにもたのしみそうに、いかにもうれしそうに、しずかにそのいち/\の猪口を口へ運んで行くさまをみて、いまさらのように自分の、飲みさえすればいゝといった工合の、たとえばさゝれた猪口でもずん/\そばからあけて行くいわれなさをわれながらつく/″\あさましいと思った。――あげく誰よりもさきへつぶれたかれだった……
「止せよ、おい、そんなに無理に飲むなよ。」
むかし、よく、鷲尾にそういわれた。あの「仙人」はそういってはよく介抱してくれた。あの男は、あの時分から、自分のほんとうの飲み手でないことをちゃんとそう知っていたのかも知れない……
「が、それにしても弱くなったもんだ。」
歎息するようにまたかれは自分にいった……
二
酔うことは酔った。酔うことはむかしだってすぐ酔った。もっといまより以前のほうが輪をかけてよけい酔った。――が、酔っても、いくら酔っても正体をなくすということはなかった。