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Japanische Klassiker mit Furigana

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もめんいぜんのこと

木綿以前の事

柳田 国男

Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme

Aozora Bunko

ただその中でも津軽のコギンは、あるいは古錦の音だなどと謂った人もあるくらいに、殊に精巧な美しいものが多かったのである。それを作るのも容易のわざではなかった。忙しい家の嫁や娘は、一日にせいぜい五分か一寸、一枚に十年もかかったというものを自慢にしていた。是が見られなくなったのはほんの近頃のことで、今でも捜せば箪笥の底から出して見せてくれる。是をこしらえた女たちは、たとえば野ら働きの最もせわしい日でも、持って行って田の畔に包んで置き、男が茶を飲み煙草を吸う時間にも、一針でも是を刺して置こうとしたのだそうである。それからまた男に着せるシボハッピ、薩摩の下甑島でニンブという裂織なども、材料はいずれも粗末なものであったが、色の取合せや織り上りの美しさに、女たちは全身の力と心とを籠めていたのである。こういうのは或いは一地方かぎりの趣味流行でもあろうが、一般に女の仕事着は、荒い淋しい田舎に行くほど、一層深い注意が払われていたので、現在はそれを見ようとすると、よほど汽車から離れた土地へ入って行かなければならぬ。東京近郊の女の人などは、よく働くとは言っても、もうよほど以前から、仕事着などは知っていない。