Japanische Klassiker mit Furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme
独愁
一
一ノ谷で討たれたと聞えた平家の将は、重なる人々だけでも夥しい数にのぼった。
平敦盛、忠度、通盛、経俊、経正、知章――など十指を折っても折りきれない。
首は十三日の頃、巷をわたして、六条河原に梟けられた。
奏聞の儀もすみ、鎌倉へはもちろん次々に早打ちで報告もした。居ながらに、合戦の状況と処理のよく分るよう、義経は特に兄頼朝へ心をつかった。いや鎌倉どのの代官として遺漏のないよう万全を尽した。
――が、その兄からは、
「よくいたした」
という一片の返事もない。
範頼のほうへは、それが来ているらしいと聞くが、義経には沙汰もなかった。しかし義経は、兄から恩賞の沙汰を聞こうなどと期待しているのではない。彼の帰京は、朝廷、鎌倉への報告と共に、平家方の打首や擒人の処分、その他の軍務を果たすためで、心は、一日もはやく再び西下して、今のうちに、平家の全勢力を掃滅しておかなければ後日の大患と考えていたのである。
彼の惧れているのは、瀬戸内海を中心とする平家の水軍の力だった。清盛が生前に宋船との交易をはかるため、各地に扶植しておいた造船力とか水路の開拓とかいう遺業が、今、入道の子孫の没落にあたって大きくものを云って、内海から九州まで、制海権を擁している。