Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

その時はもう幾人も見物が入っていません。平次は青竹の手摺を越えて、一歩幽霊の方へ近づきました。どうかしたら、これがお雛ではないかという疑いが、平次をすっかり亢奮さしてしまったのです。

二三人の見物の客は、平次の態度に驚いて、逃げ腰にこの様子を見詰めております。と見ると、幽霊は不意に、陥し穴に落ち込む人のように、あッと思う間もなく大地にめり込んで、あとは、塔婆と白張と井戸と柳が、ほの暗い中に残るばかり。

平次は呆然として青竹の手摺に還りました。もうそこには、一人も見物は居ません。

次の部屋は、打って変って明るく、緋毛氈の腰掛を据えて「お茶を差上げます」と書いた柱掛けなどが下がっております。

ホッとした心持になった平次、思わず四方を見廻したが、夕暮近いせいか、それとも先刻の自分の態度に驚いて敬遠したか、そこには人の姿もありません。腰を下ろして我にもあらず腕を組むと、

「お茶を召しませ」

可愛らしいお稚児、紫の大振袖、精巧の袴、稚児輪を俯向けてソッとお茶をすすめているのでした。

「有難う」

茶碗を取上げて、と、顔を上げたお稚児と顔を合せて驚きました。

三つ目小僧です。