Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

七

平次の論告は、とにもかくにも本当らしく聞えます。あまりの不気味さに、十三四人、黙りこくって顔を見合せました。

七

「ところで庵主さん」

平次は庵主の良海尼に声をかけました。

「ハイ」

看経を止めて、静かに振り向いた庵主の顔は、何という邪念のない平静さでしょう。

「この鯉の置物をどうして、川の中へ沈めて置きました」

平次の問は予想外です。

「あ、それの事ですか、――あの人達が、あまり無益な殺生をするから、戒めのために釣場の下へ沈めて置きましたよ。そのせいで一匹でも魚が助かれば、何かの供養になろうと思いましてな」

「なるほど、――ところで、庵主さんは、鳥羽の海で働いておられたのでしょうな」

「…………」

「海女が鮑を取る時は、水の中に潜って、鑿を使うと聞きました。水に潜ってあれだけ鑿を使えるのは、武芸の達人にも出来ませんよ」

「…………」

「それから海女は水の中へ商売道具の鑿を捨てて来るはずはない。これが外の者なら、泳ぎにくいのを我慢して、血脂のついた鑿を持って来て、濡れたまま元の場所に置くのがかえって不思議だ」

「…………」

恐ろしい静寂です。一座の人の顔は驚愕に化石しますが、良海尼だけはかえって女らしい柔かさと落着きを取戻して、何の恐れる色もなく静かに平次を見上げるのでした。