Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

七

「皆んなが、悲鳴を聞いたと言うぜ」

「それは、あの、私だったかも知れません」

「えッ」

「あの時奥から店の方へ行こうとして、仏間の裏の廊下を通ると、不意に――」

「…………」

お辰は固唾を呑みました。

「不意に、死んだと思った旦那様に逢ったんですもの、――私は思わず、声を出したような気がします」

「幽霊と思ったのか」

「え、あんまり驚いて、転げるように自分の部屋へ戻りました。それっきり、しばらくは何にも知りません」

ありそうな事です。が、悲鳴を挙げたのがお辰だったとすると、今まで提供された不在証明にいろいろの支障が起ります。

「それは大変なことだ、――その時主人は確かに生きていたんだね」

「え、幽霊と思い込んで逃出しましたが、私の顔を見て、何か言った様子でした」

「よしよし」

平次はこの娘からこれ以上何にも訊くことのないのを見て取りました。あまりにも正直で、あまりにも駆引のない態度です。

七

「親分、判りましたよ」

「何だ、八」

「先刻言い付けたじゃありませんか、昼と夜とで、様子の変った人間ですよ」

平次の無関心な態度が少し八五郎をうろたえさせました。

「忘れたわけじゃない、こっちにも大変なことがあったんだ」