Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme
七
「でも親分さん、死んだ者へ、線香一本上げる者もないような人達ばかり居る家なんです。正次郎どんばかり悪いとは言えませんよ」
「…………」
お徳は妙に考えさせることを言います。
「この家はそんな家なんです、皆んな銘々のことしか考えてはいません」
「…………」
平次の驚きの前に、お徳は淋しいが、妙に情熱的な笑いを見せて、元の仏間に入って行きました。間もなく鉦の音がします。
申刻(午後四時)近くなって、主人の市兵衛は二千両の現金を持たせて帰ってきました。それに蔵の中の二千両、あとは店やら奥から持出して五千両に纏め、番頭の嘉助に丁稚を二人、鳶頭までつけて、細川様御中屋敷に送ってやりました。
「まず、これでよし」
ホッとした市兵衛の顔を見ると、平次は今まで、何にもしていなかった事を責められるような心持です。
七
五つの千両箱は、蔵から持出したに間違いはありません。廊下の軒下、ちょうど雨の後の軟かい土の上に、乱雑に置いた跡まではっきり読めるのですが、家の中は言うまでもなく、隣の穀蔵の米俵まで調べましたが、どこにも見付からなかったのです。
母屋は、幾度も幾度も、床下も、天井裏も、下水の中も、ゴミ箱も見ました。