Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
「親分、梅はお嫌いかな」
「へえ?」
銭形平次も驚きました。相手は町内でも人に立てられる三好屋の隠居、十徳まがいの被布かなんか着て、雑俳に凝っていようという仁体ですが、話が不意だったので、平次はツイ梅干を連想せずにはいられなかったのです。
「梅の花じゃよ、――巣鴨のさる御屋敷の庭に、たいそう見事な梅の古木がある。この二三日はちょうど盛りで、時には鶯も来るそうじゃ。場所が場所だから、俗も風雅も一向寄り付かない。御屋敷の新造が解った方で、――三好屋の知合いで、風流気のある方があったら、ぜひ御一緒に――とこう言うのじゃ、どうだな、八五郎兄哥」
三好屋の隠居は、相変らず日向に寝そべって、自分の身体一つを持て余しているガラッ八の八五郎に声を掛けました。
「梅の花というと、花合せの赤丹を思い出すような人間に、風流気なんかあるわけはありません。御隠居さん、無駄ですよ」
平次は苦笑いをしております。
「お言葉だがネ親分、梅の花なんざ、小汚ねえばかりで面白くも何ともねえが、御馳走と新造付きなら考えるぜ」
「馬鹿野郎、何て口の利きようだ」
「いいやね、親分、八兄哥は正直だ、――それに向うじゃ、平次親分を伴れて来て下されば、恩に着ますって言うくらいだから、御馳走の方は俺が引受けますよ」