Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

ております。

「どうぞこちらへ――」

どこから現れたか、小腰を屈めたのは冷たい美しい女中、雪洞を左手に移して、離屋の柴折戸をそっと開けました。

黙って入ると、中には籠行灯が点いて、座蒲団が二つ、平次が来るのを待っていたような心憎い用意です。もっとも、夜風に吹かれて庭を歩いたのは出来心ですから、そんな都合にならなければ、そっと座を外さして、ここへ案内するつもりだったのでしょう。

「親分、こんな折をお待ちしておりました」

「あ、御新造」

女中に呼ばれて駆け付けたらしいお紋は、少し息をはずませて、お品の悪くない程度に、斜めに坐るのでした。灯を背にして、ほの白い顔、岩佐又兵衛の絵から抜け出したような、妖艶な姿態が、相手を苛立たせずにはおきません。

三千五百石取の旗本の妾――地の町芸妓が匂うにしても、何となく不思議な魅力を持った女です。

「御新造、ざっくばらんに申しますが、あっしをここへ呼んで下すった御用というのは何です」

平次は大して酔っていませんでした。打ち寛いだうちにも何となく事務的に、こう片腕を膝に突きます。

「聞いて下さい、親分、――私は世にも恐ろしい者につけ廻されております」