Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme
ともかく、親分の耳に入れておけば、後で何か面白くないことが起った時、私の言ったことを思い出して下さるだろうとこう思ってな」
服部良庵はつままれたような調子でした。が、後になって考えると、さすがに長い間の経験と、専門家らしいカンで、大事件の匂いを、この時から嗅ぎ出していたことに思い当りました。
「腑に落ちない――にもいろいろあるだろうが、一体どこがどう腑に落ちなかったんで?」
「胸をはだけて見ると、身体がびっくりするほど痩せていたのが第一の不思議さ」
「…………」
「それに、あんな洒落者が、死顔を見ると不精髯だらけ、その上、白髪染が流れ落ちて、小鬢が真っ白だ――四十になったばかりの孫右衛門さんに白髪があろうとは、この私でさえ気が付かなかったくらいだから、もう少し上等の白髪染を使っていそうなものだが」
「それから?」
「昨日逢った時あんなに元気だったが、死顔を見ると――もっとも死顔は相好の変るものだが、――十歳ぐらいは老けていたよ」
良庵の言うことは取り止めもありませんが、とにかく、大徳屋孫右衛門の死に、一抹の陰影があることは疑いもありません。これだけの報告を済ませると、良庵は、気が軽くなったように、そそくさと帰って行きました。