Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme
ん。浪人崩れの草間六弥だけが、時々お棺の前へ行って、線香を立てては湿っぽい顔をして来るだけ」
「…………」
「一人の身体が動くと、五六人の眼が動く。一人が立ち上がると、五六人ゾロゾロ跟いて行く。慾と慾が、家の中へ旋風を巻いているようなもので、あんな厭なお通夜は見たこともありませんよ。そのくせ死んだ孫右衛門は、――俺が死んだら、困る者はうんとあるだろう。第一、五丁町は暗くなる――と言っていたんだそうで、あれを見ると、人間死んじゃつまらないと思いますよ」
ガラッ八が、つくづくそんな事を言うのです。
「まアいいやな、どうせ金持にも大通にもなれるお互じゃねえ」
「今日ばかりは、貧乏に生れ付いて良かったと思ったぜ。アア厭だ厭だ」
「何を言やがる、質の流れ月が来るたびに、――金持に生れりゃ良かった――って言ったじゃないか」
平次は半分茶にしながら聞いておりました。
「あんな浅ましい図に比べりゃ、腐った袢纏の一枚や二枚流したって惜しいとは思わねえ」
「ハッハッ、大層悟りやがったな」
二人は沁々とした心持で笑いました。が、事件はこれがほんの端緒で、この後に続く恐ろしい発展は、全く笑いごとではなかったのです。