Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

何か一と皮も二た皮も剥がなければ、本当の心持の判らないといった種類の女です。

「主人が生きて納戸に隠れていることを知っていたはずだが」

「いえ、そんな事は少しも知りません」

お村の顔は急に引締りました。

最後に若いお辰は、おどおどしながら平次の前に坐っておりました。たった十九になったばかり、色白の可愛らしい娘で、こんな奉公をするのが痛々しいくらい。

「お前はいつからここに来ているんだ」

「三月ほど前からでございます」

「家は?」

「市ヶ谷」

「両親はあるのかい」

「母と弟だけおります」

「主人が死ねば、すぐにも家へ帰りたかろう」

「…………」

黙ってうなずきました。簪がキラキラと揺れます。美しい顔、匂う襟元、平次も何か押して物を訊く気もなくなります。

「あの悲鳴はどこで聞いたんだ」

「…………」

お辰は顔を挙げました。唇は動きますが、声は出ません。

「あの主人が殺された時の悲鳴はどこで聞いたんだ。――その時お前の居た場所が判らないと、お前も疑いを受けることになるが」

助け舟のつもりで、平次がこう言ったのはよくよくの事でしょう。

「主人の声は、あの何にも聞きません」

お辰の答は予想外でした。