Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

二

まだ娘気分の抜け切らぬお静は、こう言って、朝の支度に取掛りました。

ちょうどその時でした。

「大変! 親分さん、すぐお願い申します」

飛込んで来たのは、横山町の鳶頭です。

「どうなすった、鳶頭」

「大黒屋の番頭正次郎さんが殺されて、今日細川様へ納める五千両の大金が、煙のように消えてしまいましたぜ」

「なるほど、そいつは大変だ」

平次は箸を投り出して立上がりました。横山町の大黒屋市兵衛というのは、油の小売から仕上げて、今では廻船問屋から、大名方の御金御用達まで、承っている大町人だったのです。

二

それから半刻(一時間)の後、銭形平次と八五郎は、横山町の現場に駆け付けておりました。

「寄っちゃならねえ、手なんか付けると掛り合いだぞ」

番太の老爺と町役人が声をからして群がる野次馬を追っ払っているのも無理はありません。大黒屋の裏口で殺されたという、番頭正次郎の死体は取り入れましたが、不思議なことに死体があったという裏口から、大川へ通う路地には、栞代りに撒いたように、真新しい小判が、幾十枚となく落散っているのです。

野次馬の眼が、その小判に光ったのも、番太が声をからしたのもそのため、死体はともかく、路地の小判までは、検屍の役人が来るまで、手を着けてはならなかったのでした。