Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme
二
全くこれは折入っての頼みでした。笹野新三郎、思わず膝を進めて、敷居の外に踞る平次の手を頂きたいような様子です。
「旦那、よく解りました。何とか一と工夫やってみましょうが、相手は旗本屋敷というと、うっかり手は出せません。しばらくお待ち下さいますように」
平次は思い定め兼ねたような、むつかしい顔を挙げました。が、――何とかやってみましょう――と言う以上は、事件の解決まで、決して手を緩めない平次の日頃をよく知っている新三郎は、もうすっかり大船に乗った気持で、この捕物の名人と謳われた男の顔を頼母しく見詰めました。
二
しかし、この時ほど平次も縮尻ったことがありません。手っ取り早く言えば、小永井家に入込む工夫も何もつかぬうち、肝腎の生き証拠の老女加世は死体になってしまったのです。
それは、八丁堀の役宅に、与力笹野新三郎を訪ねた翌る日の晩でした。遽の発作で、町内の医者も間に合わず、息を引取ってしまいましたが、水で頭を冷したので、枕も毛もぐっしょり濡れている外、どこにも異状はなかったので、筍庵先生の見立ては卒中ということで、深く詮索する者もなく、猫の子のように手軽に葬られてしまいました。