Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
二
取り留めた証拠もないに異国の人を詮議の拷問のと仰々しく立ち騒ぐは、その国への聞こえもござりまする。この上にかさねて不審の事どもがあれば格別、ともかくも今日はこのままに……。」
権右衛門の眼は妬ましげに光った。
二
どの人の胸にも幾分の不満と不安とが潜んでいながらも、主人の愛娘といい、もう一つにはかれに備わっているおのずからの強い力に圧し伏せられて、素直にかれらの捕虜をゆるすことになった。掴まれていた両腕をゆるめられて、はじめて自由の身になった眇目の男は格別にそれを嬉しいとも思っていないらしかった。彼はむしろ獣のように手足をくくられて檻の中に投げ込まれても、自分の尊崇する小坂部の館にいつまでもみがれていることを望んでいるらしかった。それでも彼は立ちぎわに一言の礼を言った。
「ありがとうござります。」
四人の侍が油断のない眼を働かせて、姫の前を厳重に立ち塞いでいるので、彼は先刻のように小坂部の足もとに近づいてひざまずくことを許されなかった。彼はいたずらにその輝く眼の光りを姫のおもてに投げ付けたばかりで、からだの泥をも払わないでふらふらと立ち去ってしまった。