Japanische Klassiker mit Furigana
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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
Lesen Sie 妾の半生涯 (わらわのはんせいがい) von 福田 英子 (ふくだひでこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 64.051 Zeichen · 122 Bildschirme
はしがき
はしがき
昔はベンジャミン・フランクリン、自序伝をものして、その子孫の戒めとなせり。操行に高潔にして、業務に勤勉なるこの人の如きは、真に尊き亀鑑を後世に遺せしものとこそ言うべけれ。妾の如き、如何に心の驕れることありとも、いかで得て企つべしと言わんや。
世に罪深き人を問わば、妾は実にその随一ならん、世に愚鈍なる人を求めば、また妾ほどのものはあらざるべし。齢人生の六分に達し、今にして過ぎ来し方を顧みれば、行いし事として罪悪ならぬはなく、謀慮りし事として誤謬ならぬはなきぞかし。羞悪懺悔、次ぐに苦悶懊悩を以てす、妾が、回顧を充たすものはただただこれのみ、ああ実にただこれのみ也。
懺悔の苦悶、これを愈すの道はただ己れを改むるより他にはあらじ。されど如何にしてかその己れを改むべきか、これ将た一の苦悶なり。苦悶の上の苦悶なり、苦悶を愈すの苦悶なり。苦悶の上また苦悶あり、一の苦悶を愈さんとすれば、生憎に他の苦悶来り、妾や今実に苦悶の合囲の内にあるなり。されば、この書を著すは、素よりこの苦悶を忘れんとての業には非ず、否筆を執るその事もなかなか苦悶の種たるなり、一字は一字より、一行は一行より、苦悶は弥勝るのみ。