Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
その一つは私がまだ実家に居た頃、腰元のようにして可愛がって居た、香織という一人の女性との会合の物語でございます。香織は私よりは年齢が二つ三つ若く、顔立はあまり良くもありませぬが、眼元の愛くるしい、なかなか悧溌な児でございました。身元は長谷部某と呼ぶ出入りの徒士の、たしか二番目の娘だったかと覚えて居ります。
私が三浦へ縁づいた時に、香織は親元へ戻りましたが、それでも所中鎌倉からはるばる私の所へ訪ねてまいり、そして何年経っても私の事を『姫さま姫さま』と呼んで居りました。その中香織も縁あって、鎌倉に住んでいる、一人の侍の許に嫁ぎ、夫婦仲も大そう円満で、その間に二人の男の児が生れました。気質のやさしい香織は大へんその子供達を可愛がって、三浦へまいる時は、一緒に伴て来たことも幾度かありました。
そんな事はまるで夢のようで、詳しい事はすっかり忘れましたが、ただ私が現世を離れる前に、香織から心からの厚い看護を受けた事丈は、今でも深く深く頭脳の底に刻みつけられて居ります。彼女は私の母と一緒に、例の海岸の私の隠れ家に詰め切って、それはそれは親身になってよく尽してくれ、私の病気が早く治るようにと、氏神様へ日参までしてくれるのでした。