Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
』
『かねて乙姫様からのお言葉により、あなたのお出でを心待ちにお待ち申して居りました。』とあちら様でも大そう歓んで私を迎えてくださいました。『自分とて、ただ少し早くこちらの世界へ引移ったという丈、これからはともどもに手を引き合って、修行することに致しましょう。何うぞこちらへ……。』
その口数の少ない、控え目な物ごしが、私には何より有難く思われました。『矢張り歴史に名高い御方だけのことがある。』私は心の中で独りそう感心しながら、誘わるるままに岩屋の奥深く進み入りました。
私自身も山の修行場へ移るまでは、矢張り岩屋住いをいたしましたが、しかし、ここはずっと大がかりに出来た岩屋で、両側も天井ももの凄いほどギザギザした荒削りの巌になって居ました。しかし外面から見たのとは違って、内部はちっとも暗いことはなく、ほんのりといかにも落付いた光りが、室全体に漲って居りました。『これなら精神統一がうまくできるに相違ない。』餅屋は餅屋と申しますか、私は矢張りそんなことを考えるのでした。
ものの二丁ばかりも進んだ所が姫の御修行の場所で、床一面に何やらふわっとした、柔かい敷物が敷きつめられて居り、そして正面の棚見たいにできた凹所が神床で、一つの円い御神鏡がキチンと据えられて居るばかり、他には何一つ装飾らしいものは見当りませんでした