Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
『あなた様の御生立を伺わして戴き度う存じまするが……。』
機会を見て私はそう切り出しました。すると姫はしばらく凝乎と考え込まれ、それから漸く唇を開かれたのでございました。――
『いかにも遠い昔のこと、所の名も人の名も、急には胸に浮びませぬ。――私の生れたところは安芸の国府、父は安藝淵眞佐臣……代々この国の司を承って居りました。尤も父は時の帝から召し出され、いつもお側に仕える身とて、一年の大部は不在勝ち、国元にはただ女小供が残って居るばかりでございました……。』
『御きょうだいもおありでございましたか。』
『自分は三人のきょうだいの中の頭、他は皆男子でございました。』
『いつもお国元のみにお暮らしでございましたか?』
『そうのみとも限りませぬ。偶には父のお伴をして大和にのぼり、帝のお目通りをいたしたこともございます……。』
『アノ大和武尊様とも矢張り大和の方でお目にかかられたのでございまするか?』
『そうではありませぬ……。国元の館で初めてお目にかかりました……。』
山間の湖水のように澄み切った、気高い姫のお顔にも、さすがにこの時は情思の動きが薄い紅葉となって散りました。