Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
三十九、見合い
私は構わず問いつづけました。――
『何卒その時の御模様をもう少しくわしく伺わせていただく訳にはまいりますまいか? あれほどまでに深い深い夫婦の御縁が、ただかりそめの事で結ばれる筈はないと存じますが……。』
『さァ……何所から話の糸口を手繰り出してよいやら……。』
姫はしばらくさし俯いて考え込んで居られましたが、その中次第にその堅い唇が少しづつ綻びてまいりました。お話の前後をつづり合わせると、大体それは次ぎのような次第でございました……。
三十九、見合い
それはたしかに、ある年の夏の初、館の森に蝉時雨が早瀬を走る水のように、喧しく聞えている、暑い真昼過ぎのことであったと申します――館の内部は降って湧いたような不時の来客に、午睡する人達もあわててとび起き、上を下への大騒ぎを演じたのも道理、その来客と申すのは、誰あろう、時の帝の珍の皇子、当時筑紫路から出雲路にかけて御巡遊中の小碓命様なのでございました。御随行の人数は凡そ五六十人、いずれも命の直属の屈強の武人ばかりでございました。序でにちょっと附け加えて置きますが、その頃命の直属の部下と申しますのは、いつもこれ位の小人数でしかなかったそうで、いざ戦闘となれば、何れの土地に居られましても、附近の武人どもが、後から後から馳せ参じて忽ち大軍になったと申します。