Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
五十三、雨の竜神
五十三、雨の竜神
瀑布の修行場では、私が実際瀑布にかかったかと仰っしゃるか……。かかりは致しませぬ。私はただ瀑布の音に溶け込むようにして、心を鎮めて坐って居たまでで、そうすると何ともいえぬ無我の境に誘れて行き、雑念などは少しもきざしませぬ。肉体のある者には水に打たれるのも或は結構でございましょうが、私どもにはあまりその効能がないようで……。又指導役のお爺さんも『瀑布にはかからんでも、その気分になればそれでよい……。』とのお言葉でございました。
或の日私が統一の修行に疲れて、瀑壺の所へ出てぼんやり水を眺めて居りますと、ここの竜神様が、又もや例の白衣姿で、白木の長い杖をつきながら、ひょっくり私の傍へお現われになりました。
『丁度よい機会であるから、汝を上の山へ連れて行って、一つ大へんに面白いものを見せて上げようと思うが……。』
『面白いものと言ってそれは何でございますか?』
『自分について来れば判る。汝は折角修行の為めにここへ寄越されているのであるから、この際できる丈何彼を見聞して置くがよいであろう……。』
もとより拒むべき筋合のものでございませぬから、私は早速身支度してこの親切な、老いたる竜神さんの後について出掛けることになりました。