Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

その状態がどれ位つづいたかは自分には少しも判りませぬ。が、不思議なことに、そうして居る間、現世の人達が奏上する祝詞が手に取るようにはっきりと耳に響いて来るのでございます。その後何回斯うした儀式に臨んだか知れませぬが、いつもいつも同じ状態になるのでございまして、それは全く不思議でございます。

不図自分に返って見ると、お爺さんも、又守護霊さんも、先刻の姿勢のままで、並んで神壇の前に立って居られました。

『これで俺も一と安心じゃ……。』

お爺さんはしんみりとした口調で、ただそう仰ッしゃられたのみでした。つづいて守護霊さんも口を開かれました。――

『ここまで来るのには、御本人の苦労も一と通りではありませぬが、蔭になり、日向になって、親切にお導きくだされた神さま方のお骨折りは容易なものではございませぬ。決して決してその御恩をお忘れにならぬよう……。』

その折の私としましては感極りて言葉も出でず、せき来る涙を払えもあえず、竜神さま、氏神さま、その外の方々に心から感謝のまことを捧げたことでございました。

七十一、神馬

鎮座祭が済んでから私は一たん海の修行場に引き上げました。