Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

た。ナニ乗者に見惚れたのではないかと仰っしゃるか……。御冗談ばかり、そんな酔狂な者は只の一人だってございません。私の馬に見惚れたのでございます……。

そうそうこの馬の命名につきましては、良人と私との間に、なかなかの悶着がございました。私は優さしい名前がよいと思いまして、さんざん考え抜いた末にやっと『鈴懸』という名を思いついたのでございます。すると良人は私と意見が違いまして、それは余り面白くない、是非『若月』にせよと言い張って、何と申しても肯き入れないのです。私は内心不服でたまりませんでしたが、もともと良人が見立ててくれた馬ではあるし、とうとう『若月』と呼ぶことになって了いました。『今度は私が負けて置きます。しかしこの次ぎに良い馬が手に入った時はそれは是非鈴懸と呼ばせていただきます……。』私はそんなことを良人に申したのを覚えて居ります。しかしそれから間もなく、あの北條との戦闘が起ったので、私の望みはとうとう遂げられずに終りました。

とに角名前につきては最初斯んないきさつがありましたものの、私は若月が好きで好きで耐らないのでした。馬の方でも亦私によく馴染んで、私の姿が見えようものなら、さもうれしいと言った表情をして、あの巨きな躯をすり附けて来るのでした。