Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
で、私は思い切ってその門をくぐって行きましたが、門内は見事な石畳みの舗道になって居り、あたりに塵一つ落ちて居りませぬ。そして両側の広々としたお庭には、形の良い松その他が程よく植え込みになって居り、奥はどこまであるか、ちょっと見当がつかぬ位でございます。大体は地上の庭園とさしたる相違もございませぬが、ただあんなにも冴えた草木の色、あんなにも香ばしい土の匂いは、地上の何所にも見受けることはできませぬ。こればかりは実地に行って見るより外に、描くべき筆も、語るべき言葉もあるまいと考えられます。
御門から御殿まではどの位ありましょうか、よほど遠かったように思われます。御殿の玄関は黒塗りの大きな式台造り、そして上方の庇、柱、長押などは皆眼のさめるような丹塗り、又壁は白塗りでございますから、すべての配合がいかにも華美で、明朗で、眼がさめるように感じられました。
私はそこですっかり身づくろいを直しました。むろん心でただそう思いさえすればそれで宜しいので、そうすると今までの旅装束がその場できちんとした謁見の服装に変るのでございます。そんな事でもできなければ、たッた一人で、腰元も連れずに、竜宮の乙姫さまをお訪ねすることはできはしませぬ。