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Japanische Klassiker mit Furigana

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やまをおもう

山を思う

石川 欣一

Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme

Aozora Bunko

はじめ私は女学校の生徒が先生に連れられて行くのかと思ったが、それにしても一対一は変だし、結局これは若い細君が女学生時代のセーラーを着て来たのだろうと判定した。それはどうでもいゝが、この二人がねっから湖水も山も見ていない。喋々喃々と、お喋舌りばかりしている。別に羨ましかった訳でもないが、あれでは二人で山に登って下りて来て「どこで君が何をしておかしかった」「どこであなたが何と云って面白かった」以外に、何の印象も残るまいと思われた。ひとのことだからそれだっていゝ。何も小言をいう筋は無いが、少々下らないような気がした。

◇

私は随分長い間、山に登っている。その記憶の中で一番、はっきりしているのは、ある尊いお方が穂高から槍へ行かれるのに、新聞記者としてお伴した時のことである。私の社だけで社員が八人、これに連絡係や荷物持ちの人夫が、何でも四十人に近かった。一行が穂高に登られるのについて私も登り、前穂の一枚岩と呼ばれる所から私一人上高地へ引き返した。上高地から鳩や写真の材料や食料を持つ人夫の一群を引率して、谷ぞいに槍へ向うためであった。この一枚岩から上高地までの短い時間が、まるで水に洗われたボヘミア硝子のように、鋭く、明るく、あざやかな印象として残っているのだ。