Japanische Klassiker mit Furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme
九月の末の、月のいゝ晩であった。
お婆さんは、ミセス何とか言ったが忘れて了った。忘れたといえば、このお婆さんがホーソンの孫だったか、従兄弟の孫だったか、それも覚えていない。甚だ「頼りない」話だが、それは要するにどうでもいゝので、私が覚えているのは、お婆さんがもう九十いくつかで、ブリキのラウドスピーカーみたいな物を耳に当てゝは、私の喋舌る覚束無い英語を聞いたことゝ、その晩恰もその家に遊びに来ていた、マーガレット何とかいう、隣の家の娘のことである。
一通り話が済むとお婆さんが、私の庭は荒れているが、ナザニエル・ホーソンが遊びに来たことがある庭だから、見たらどうだ。マーガレット、お前御案内おしなさい。と云った。
マーガレットは、すこぶる気軽に立ち上った。十六か七位だろう。すらりとした娘で、「カム・オン!」とか何とか云って、ポーチの階段を下りて行く。――月がいゝので、私どもは部屋に入らず、東南に面したポーチに坐っていたのである。
ポーチを下りると石を敷いた路が、家に添って裏の庭に通じている。その庭は、どの位の広さがあるのか、また何が植えてあるのか、陰影が多くて判らない。