Japanische Klassiker mit Furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme
寒風身にしみてくさめをし、気がついたらうたゝ寝をしていたなどというのでは困るが、とにかくアイスアックスは、我をして山を思わしめ、山を思えば私はアイスアックスを取り出して愛撫する。
一九〇二年のことである。モン・ブランの頂上から四人の登山者が下りて来た。内二人はスイスのガイドであった。グラン・プラトーと呼ばれる地点まで来た時、突然物凄い雪嵐が一行を襲い、進むことも退くことも出来なくなって了った。止むを得ず、アイスアックスで雪に穴を堀り、四人がかたまって一夜をあかすことにしたが、気温は下降する一方で、ついに暁近く二人は凍死した。
翌日はうらゝかに晴れ渡った。残った二人は、とにかく急いで下山することにしたが、あまり急いだので、その中の一人が深いクレヴァスに落ちて了った。クレヴァスとは氷河や雪田に出来る裂目である。深いのも浅いのもあるが、この男の落ちたのは二百尺近くもあったという。そんな所に落ち込めば、命は無いものであるが、この人は不思議に、大した怪我もせずにいた。
一行四人が、今はたった一人になった。この最後の一人は、これは大変だ、どうしたろうと、しきりにクレヴァスをのぞいている内に足をすべらして、自分もまた同じクレヴァスに落ち込んだ。