Japanische Klassiker mit Furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme
鍵の手になった障子の、今入って来たのでない方のをあけると、山でガレと呼ぶ、三角石の堆積で、その上には白い菊みたいな花が五六本咲き、ガレの向うは荒壁のなかば崩れ落ちた大きな納屋。
長い夏の日ではあるが、小雨が降って暮れは早く思えた。川の音以外には、何の物音もしない。台所の囲炉裡から出る煙が、木造で屋根のついた、四角い煙出しから出て、そして風が無いので屋根を這っている。およそ落つくといって、こゝ位落つく場所もすくないであろう。落つかざるを得ないのだから……。
こゝの湯がまた素晴しいものである。浴槽は二カ所、その一つは滝といって、大きさも普通の浴槽位なものだが、普通の方は、何間に何間か、測量もしなかったけれど、大した大きさで、それに量が豊富であり、驚く程清く澄んでいる。浴槽の底は天然の岩、その間から噴き出すのと、浴槽の辺を越して流れ込むのと、両方なので、底に湯垢がたまるということは無い。
浴槽を横切って丸太棒が一本かゝっている。これは両端に切り込みがあり、浴槽の辺を自由に動くようになっている。この棒に後頭部をのせ、両足を辺にかけて、何十分でもつかっていることが出来る。