Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.447 Zeichen · 76 Bildschirme
二月二十四日
小説的な想像が浮んで、一人の死に対して二人の人間の起す、利害的競闘に考え及ぶと、多大の好奇心を働かされる。が大して、悪くはなかった。只、彼の、技巧で、その時々の場面をとりつくろって行こうとする努力が見えすいていやだった。隅田川の暗い川面に対岸の灯かげが淋しくゆらめいて居た。
二月二十四日(土曜)
大変に暖かい。食堂のガラス窓から見ると、真青に晴れた空が外へ外へと誘い出さずには置かない。郊外へ行きたかったのだけれども、母上と英ちゃんと一緒に、国民美展へ行く。忘られないほどよかったのは画ではないが、彫刻の北村四海さんの女の胸像が大変、大変によかった。なるほど頬のところへ少し汚点が出て居たが、よかった。あれは忘られない。中村さんの恋の墓は、徹底して居ない。一向悲惨な感も起し得ない程度に於て常套的であるとも、又強みがないとも云える。自分自身に対する、ソンネットのようなものなのだろう。帰りに竹葉によって夕食をすませ、銀座を歩いてかえる。何だか暗い四角で、美くしい花を売って居るのを見たので桜草と、アスパラガスをまぜて買って来る。暗いところで見たほど奇麗ではなかったが、とにかくよかった。