Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しょうわゆうげきたい
昭和遊撃隊
平田 晋策
Lesen Sie 昭和遊撃隊 (しょうわゆうげきたい) von 平田 晋策 (ひらたしんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.452 Zeichen · 208 Bildschirme
水門はまるで長い谷間のようだ。両岸の崖がどこまでもどこまでも黒々とつづいている。
その谷底の闇を、わが『最上』は、もの凄い海流に押し流されながら奥へ、奥へ、入って行くのだ。
小さい影が二つ。舳に近い甲板の上で動いている。
一つの影は、夜目にも美しい少女である。赤い毛糸の帽子をかむって、豹の皮の外套にくるまっている。
「ね、あたし怖いわ。この水門、どこまでつづいているんでしょう。」
つぶらな黒曜石のような眼で、奥の方をすかして見たが、黒々とした崖が、艦の行手をさえぎるように聳え、どこまで行ったら、ひろい入江へ出るのか、見当がつかない。
「代ちゃん、ここは地獄の入口だよ。」
――もう一つの小さい影がささやいた。一等兵曹の服装をしているが、紅顔の美少年だ。明るい頬の色、澄み切った眼のかがやき。どこかで見たような顔だ。
――おや清君じゃないか。そうだ、たしかに『最上』の設計者武田博士の弟、清少年にちがいない。
彼は今や、怪巡洋艦『最上』の舳に仁王立ちになって、じっと腕ぐみしているのである。
水門の闇はいよいよくらく、上を見ると、高い高い絶壁の間、もうもうと立ちこめた、霧の中に、ぼんやり月が光っている。