Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうわゆうげきたい
昭和遊撃隊
平田 晋策
Lesen Sie 昭和遊撃隊 (しょうわゆうげきたい) von 平田 晋策 (ひらたしんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.452 Zeichen · 208 Bildschirme
「あッ、艦長。浸水しましたッ。」
けたたましい叫声と一しょに、海水がひびの入ったすき間から、どッと噴き出した。
「しまったッ。」
青木司令官は、さっと顔色を変えたが、もうおそい。
海水は瀑のように流れこみ、みるみるうちに『八島』の中は水びたしだ。
「残念だ。」
「おれはもっと暴れたかったなあ。」
水兵たちの口惜しがる声を聞きながら、青木大佐は、壁に向ってペンキの刷毛を動かした。悲しい最後の言葉を書きつけるのだ。
「陛下の艦を失って申しわけなし。
紅玉島を攻撃したことが、無念の中の本望なり。
部下は一人として死を恐れず、軍紀厳正なり。
臣青木大佐、死しても護国の鬼とならん」
白ペンキの壁に、黒ペンキの色があざやかである。
水はもう胸まで来た。
「司令官、自分にも一筆書かして下さい。」
柴田少佐は、泳ぎながら、天井へ黒々と刷毛をふるった。
「大元帥陛下万歳
帝国海軍万才
紅玉島一番槍
潜水カン八島 万ザイ。」
ああもう最期だ。少佐の黒い頭が渦巻く水の中へかくれてしまった。火が消えて、あたりはまっ暗になった。
どこから嗅ぎつけたのか、『海の殺人鬼』の鮫が、十匹、十五匹と牙を光らせて、しのびよって来る。