Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もめんいぜんのこと

木綿以前の事

柳田 国男

Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme

Aozora Bunko

月花に庄屋をよつて高ぶらせ      珍碩

煮しめの塩のからき早蕨       怒誰

来る春につけても都忘られず      里東

半気ちがひの坊主泣き出す      珍碩

呑みに行く居酒の荒の一さわぎ     乙州

この珍碩というのは前の洒堂とたしか同じ人で、奇妙に泣くという附句の席にばかり連なっている。勿論この人の趣味でもなく、特別の理解でもなかったであろうが、この時代までは折々彼の見たようなすね者、もしくは風狂人などと呼ばれた中年者が、風雅の人の間に伍して、投げやりの生活を認められていたのである。彼らの酔泣きは精神病理の現象だったかも知れぬ。しかし少なくともその複雑な心境を、適切なる言語で言い現わす方法は、当時の日本にはまだ備わらなかったのである。酒はその結果として馬鹿々々しく歓迎せられ、古来のおみきの用法の外に逸脱したのみならず、ついには健全なる言語機能を有し、また何ら表現の手段を見いだすに苦しむような不平も煩悶ももたぬ者までが、人を見真似に無用にこのナルコチックに向かって行ったのである。当代のごとく俳諧の乏しく、もしくは畸形に発育してしまった世の中に、生まれ合わせて来た我々は、殊に是を改善整頓して、人間の最も埋没しやすい生活、いわゆる片隅の喜怒哀楽、ありふれたる民衆の幸福と不幸とのために、大きな記念