Japanische Klassiker mit Furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme
ことし六歳の乙若と、八歳になった今若のふたりが、寒さに、ひしと抱き合って、無心な寝息をもらしていた。それに掛けてあるのは一枚の母の上着だけであった。
変れば変る境遇と、光厳は胸が迫ってくる。無常ということばは自分等が説法や雑談にも、余りに云い馴れて平凡な感じしか湧かない語であるが、眼のあたりその無常な変相に世をさまよう人を見ては、胸が傷まずにいられない。
この三人の和子は、人も知らぬはない、きのうまでも、源氏の人々から弓矢の棟梁、一族の長者と仰がれて、六波羅の清盛や小松殿の一門とも、肩をならべていた左馬頭義朝の紛れない遺児なのである。
それにまた、母なる人も――
幼い時から九条の女院に仕えて来て、身分は低い雑仕女ではあったが、義朝が彼女を見出すまでには、その権勢を以て、千人の美女のうちから百人を選び、百人のうちから十人を選び、十人のうちから唯ひとりの常磐を選んだと――都の辻あたりでも噂されたほど眉目すぐれた女性である。
十四初めて黛を描き、十五すでに簾裡に裳を曳く――と、玉の輿を羨まれた彼女も、ことし二十三、はやくも両の乳に三児を抱いて、住むに家もなく、大悲の御廂にこの寒空の夜を凌ごうとは、誰かその頃、想像でもしてみた者があろう。