Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme
お夏の消えも入りたい風情を、平次はあわれに見やりました。店先の隈を出ると、満面に青白い月を浴びて、十八娘の可愛らしさが、この上もなく効果的に見えるのでした。
「まア、いいやな、久三郎兄哥の手を逃れてこの平次の手に捕まっちゃたまるまいと思ったろう、――でも、ここへ戻ったのは感心だ。万事は俺が呑込んでいるから、一緒に入るがいい」
お夏は僅かにホッとした様子です。若さにも美しさにも似ぬ粗末な身扮ですが、全身から発散する魅力は、かえって楚々として人を動かします。
「専次はどうした」
「一緒に来るというのを、――それではかえって具合が悪いから、そこで別れました」
お夏の声はともすれば恐怖に絶えるのでした。
「それもよかろう、さア、万事は俺に任せるんだぜ、解ったか」
「ハイ」
平次を先に、お夏を中に挟んで、ガラッ八が殿を勤め、丸屋の、不安と疑懼とを包む空気の中へ入って行きました。
「御免よ」
「どなたで? 今晩は取込みがございますが――」
番頭らしい実体な四十男が顔を出しました。
「神田の平次だが――」
「あ、銭形の親分さん」
番頭は立ち辣みました。その後ろからヌッと顔を出したのは四十五六の小作りながら鋭い感じの男。