Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

七

しかし、その三つ目の眼は、額の上へ絵の具で描いたのだとわかると、平次はかえってほほ笑ましい心持になって、もう一度お稚児の顔を見直しました。

眼が三つあるという外には、眼鼻立も尋常、たぶん女の児でしょう――まことに可愛らしい顔立ちです。

「フ、フ、お前はとんだ可愛らしいお化けだな」

と言う平次の眼を迎えて、お稚児の小さい指は、左に持った塗盆の上に動きます。

「何、何?」

正しく仮名文字。

――ぜにがたのおやぶん、たすけてください――こんや、らんとうばで、おめにかかりましょう、ひな――

「…………」

平次は言葉もなく眼を見張りました。この三つ目小僧は十二三がせいぜいというところ、お雛にしては若過ぎますから、多分お雛に頼まれてこんな事を書くのでしょう。

「…………」

平次は黙ってうなずきました。力強く、二度も三度も――。

金龍山の鐘が、ちょうど六つを撞いて、木戸を締めるらしい、鈴の音が遥かの方からリン、リンと響きます。

七

その夜、銭形の平次はどこをどうもぐり込んだか、化物屋敷の中の、蘭塔場の舞台のすぐ前に潜んでおりました。

亥刻(十時)、子刻(十二時)――と次第に更けて行くと、薄暗がりの見越しの入道も大蝦蟇も、ニョキニョキと動き出しそうで、拵え物と知っていながらも、その不気味さというものはありません。