Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme
八
「…………」
「どう考えても腑に落ちない事だらけでさアね。御新造、あの晩、この家の裏口に血が――ほんの少し血が付いていたのを御存じですか」
「えッ」
「曲者は大根畠に短刀を隠して、それからまたこの家へ引返したことになるのは変じゃありませんか」
「…………」
「それとも、宵のうちに三好屋の隠居を殺して、ここへ引返したかな」
「…………」
平次の舌は次第に冷静に事件の核心に触れて行きますが、身体は反対にすっかり酔っ払って、他愛もなくフラリフラリと揺れるのでした。
八
「今晩も泊って下さるでしょうね、親分」
「ジョ、冗談言っちゃいけません。御新造はもう丸山町のお屋敷に帰んなさる身体だ、――男を泊めたとあっちゃ、ゲープ」
平次は立上がろうとしましたが、腰が抜けたようにヘタヘタと坐って、口ほどになくフウフウ言っております。
「外ならぬ親分ですもの、誰が何と言うものですか、さア、私が寝んねさして上げましょう」
「…………」
お紋は肩を貸して、漸く平次を抱き起すと、女中――いつぞやの冷たく美しい女中に灯を持たせて、この前平次が泊った部屋に連れ込みました。羽織を剥いて衣桁へかけて、平次の身体を床の中へ横たえると、上から蒲団を掛けて、トントンと二つ三つ軽く叩きます。