Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あめのたまがわしんじゅう

雨の玉川心中

山崎 富栄

Lesen Sie 雨の玉川心中 (あめのたまがわしんじゅう) von 山崎 富栄 (やまざきとみえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 63.997 Zeichen · 129 Bildschirme

Aozora Bunko

六月十日

八時ごろ加納さん見える。一つ部屋なので御一緒にお話する。中途で帰られた先生達の意地の悪い形容詞。ひどい人だ。感じない加納さんを送って、千草へ駆ける。

「愛しているからだよ」

それから、愛の交換。最後にゴツンと大きく背をたたかれる。

雨の中を追いつく。千草へ戻る。雑魚寝。

「なんでも話してね。僕になんでも話してね」

「頼りにしていい?」

「うん頼りにしてね」

「今夜は明るいね、いつも灯ついていなかったのに……」

ああ、幸せよ、永遠につづけ。逃げてゆくな……。

六月十日

苦労しています。

三鷹では生まれてはじめての苦労でした。あの、つらい塚本さんの雰囲気。私にはお上手など言えません。よく勤めていられると驚かないで下さい。思い出すと泣けてくるのです。ですから努めて、考えまいとしてますの。三鷹から離れて住みたくないばっかりに、色々のものを棄てました。

生活の方針も変わってきて、ああ、もう、生きていることが、つろうございます。愛人をもって、夫の生死を案じ、第三者からコヅかれて、それでも黙って生きているのです。私が死んだら一言の挨拶も塚本さんにはいりません。義理も充分果たしてありますし、教養のない主人に使われる人間の、まあ、何と可哀想なこと。