Japanische Klassiker mit Furigana
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あめのたまがわしんじゅう
雨の玉川心中
山崎 富栄
Lesen Sie 雨の玉川心中 (あめのたまがわしんじゅう) von 山崎 富栄 (やまざきとみえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 63.997 Zeichen · 129 Bildschirme
九月一日
お互いに一寸も悲しそうな顔もせず、相変わらずの、サッちゃんと太宰さん。正樹さんが、よちよちと玩具を持って入ってみえる。ヴィヨンの妻の中にある作家の悩みを思い起こさせるようなお子様。失礼かと思ったけど、太宰さんのお子さんを抱えてみたい心が湧いて「抱かせて下さいませんか」と申し上げたら、「いや、これは孤独を楽しんでいる子なんですよ」との御返事。親心としてどんなに悲しいことだろう、と思ったら涙が湧いてきてしまった。
九時頃から二時まで御話する。午前十時と午後一時には、お互いの心が一致するような気がして、お互いがお互いを思っている以上に恋い合うよう致しましょうと御約束する。おにぎりを作って下さったり、果物を出して下さったり、御本を頂いたり、御写真を拝見したり。まるで今日は夢のような日だった。
「しっかりしなきゃあ、駄目よ。しっかりしてね」「しっかりするよ」「早くいけよ」
――ああ私達にしか通じない言葉。十二日を楽しみに、病人くさい臭いなどなくなっていますように、十月には御一緒に旅をしましょう。本当に――。
九月一日
剛ちゃんに逢う。今朝太宰さんのところへいって、いま帰るところだとか。