Japanische Klassiker mit Furigana
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あおいはらふじんのたいつり
垢石釣游記
佐藤 垢石
Lesen Sie 垢石釣游記 (あおいはらふじんのたいつり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.298 Zeichen · 100 Bildschirme
私等は、船中で鯨だけ食っていれば他に何も欲しいとは思わない――とひどく得意だ。
村田氏も余程の鯨党と見えて、傍からいう――僕は、いつも鮎川港の作業場から鯨肉を東京へ取り寄せて食っているのだが、このほど品切となったので東京市内の鯨肉屋から取り寄せたところ、百匁四円五十銭とられたには面食った――と笑う。
食事が終った頃船は金華山沖を百浬も離れた波の上を走っていた。霧はますます深い。午後三時頃であったと思う。濃霧の中でけたたましい叫喚に似た汽笛の響きを聞いた。驚いて船橋へ飛上って見るとどこかの大きな商船が僕等の船とすれすれに同じ方向に進んでいる。危く衝突するばかりだった。桑原々々。
夕方の六時頃無電で海洋気象通報が入った。太平洋は銚子沖から、千島方面まで明日も濃霧だといっている。船員も、僕も気が腐った。
その夜は波の上へ流れるまま船を漂泊させることにした。
霧の中にいつ暮れたとも分らない夜がくると、また食事の用意が出来たとボーイが知らせに来た。卓上を見ると、鯨肉の握鮨がある。一口、ぱくりとやった。おいしい鮨の中トロといいたいが、それよりずっと軽い味だ。